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2023.12.14 10:00

絶滅危惧の動植物の違法取引、世界で2000点以上も押収される

日下部博一

チェコ共和国で押収された2匹のゴールデンハンドタマリン(写真:Interpol)

国際刑事警察機構(インターポール)と世界税関機構(WCO)は、世界的な野生生物の違法取引の取り締まりを行い、500人以上を逮捕し、2000点以上の動植物を押収したと12月12日に共同発表した。これは、世界中で絶滅の危機に瀕する野生生物の密売を取り締まるために毎年行われている活動の一環であり、違法取引の根深さを浮き彫りにするものだ。

押収された動物はすべて、絶滅の危機にあることから国際法で保護されている種で、インターポールによると、生きた鳥類1370羽、生きた霊長類53匹、生きた大型ネコ科動物など4頭が含まれているという。この取り組みはオペレーション・サンダーと呼ばれている。

複数の国にまたがる警察と税関職員は、国際的に保護されている植物を計30トン以上押収し、そこには保護対象のサボテン種も含まれていた。

この取り締まりでは、2624立方メートル分の木材も押収された。これは標準的な輸送用コンテナ440個分に相当する。

10月2日から27日にかけて集められた2000件を超える押収物の中には、象牙300kg以上、亀の卵数千個、植物30トン、大型ネコ科動物の身体部分とサイの角数十個なども含まれていた。

インターポールとWCOは、地域の警察や税関と協力してこの作戦を遂行し、密売人が国境を越えるところを狙った。最終的にこれらの地方当局は、合わせて数百件にのぼる車両、スーツケース、貨物輸送車などを捜査。パナマ、チェコ共和国、タンザニアなど世界各地で動植物が押収された。

モザンビークの国境で押収されたセンザンコウ(写真:Interpol)

モザンビークの国境で押収されたセンザンコウ(写真:Interpol)

毎年行われているオペレーション・サンダーは、今年で7回目。今回の2114件という押収件数は、前年の2200件をわずかに下回ったが、2017年の1300件以降、件数は着実に増えており、この作戦に参加する国は当初から2倍以上に増えている。

野生動物の密売に関する法律は国によって異なり、処罰は民事責任によるものから刑事責任までさまざまだと国連は説明している。たとえば米国では通常、絶滅危惧種を保護する法律に違反すると、5万ドル(約730万円)以下の罰金または1年以下の禁固刑となっているが、一部の密売に関する法律では最大5年の禁固刑が科せられることもある。

毎年の取り締まりは、野生生物取引が他の国際組織犯罪と絡み合っている状況を浮かび上がらせると、インターポールの担当者は語る。今年の検挙状況を分析した結果、野生生物違法取引案件の60%が、国境を越えた犯罪組織とつながっており、他の違法製品の密輸に使われているルートで取引されていた。 押収された動物、動物の部位、木材の多くは、オンライン販売プラットフォームで違法に販売されることになっていた。

この取り組みは、いかに多くの保護されている爬虫類や海洋生物が、今も高級ファッションブランドのために利用されているかを如実に示すとインターポールは言う。今回の取り締まりでは、2トン以上の海洋生物と8000匹近い爬虫類が押収された。

「重要な絶滅寸前の動物、鳥類、植物などが、野生動物や木材の密売人たちによって絶滅の危機にさらされています」と、インターポール事務局長のユルゲン・ストックは述べている。

133。これは今年のオペレーション・サンダーに参加した国の数であり、2017年のプログラム開始以来最も多かった。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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